『テーリーガーター』(シリーズ 仏典のエッセンス)入山 淳子 著

テーリーガーター仏にまみえた女たち(シリーズ 仏典のエッセンス)テーリーガーター 仏にまみえた女たち
入山 淳子

日本放送出版協会 2007-06
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▼『テーリーガーター』の「テーリー」とは仏の道をめざす女性のエキスパート(男性はテーラ)のことであり、「ガーター」とは詩句のことである。つまり『テーリーガーター』とは、「七十一人のテーリーを主な語り手とする、五百二十二の詩句」を集めた経典である(ちなみに「テーラ」が語った「ガーター」は『テーラガーター』である)。インド哲学を専攻する著者は、この経典のなかに登場するテーリーたちの言葉にもとづき、彼女たちの心境を生き生きと現代によみがえらせている。「テーリーひとりひとりの世界を甦らせる作業が、ただ楽しくなっていました」という著者の言葉どおり、テーリーたちの“生きた姿”が目の前に浮かんでくるようである。記述がやさしいので、仏教の入門書としても楽しく読める。

『カラー版 ブッダの旅』丸山 勇 著

ブッダの旅 カラー版 (岩波新書 新赤版 1072)ブッダの旅 カラー版
丸山 勇

岩波書店 2007-04
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▼『CD付 般若心経の世界』『ブッダの世界』などの写真を担当した写真家の著者が、ルンビニ、カピラヴァストゥ、ブッダガヤー、サールナート、クシーナガルといったブッダ(釈尊)ゆかりの地を探訪。美しい写真と情感あるエッセイによって、ブッダの“人生の旅”を描写している。ブッダが生きた時代と現代とを自在に往復する紀行文は、読む者にブッダへの興味を大いにかきたてている。巻末には、仏教学者・前田專學によるとても簡潔な“ブッダ入門”が収められていて、初心者にはとても役立つ。

『いのちは誰のものか』山崎 龍明 編著

いのちは誰のものか―仏教思想に人間を問ういのちは誰のものか―仏教思想に人間を問う
西本 照真 山崎 龍明

武蔵野大学出版会 2007-04
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▼武蔵野大学の教員を務める4人の仏教学者(浄土真宗)が、「いのちは誰のものか」という問題をゴータマ・ブッダ(釈尊)と親鸞の思想に即して、「私は『なんのために生まれてきたのか』『なんで生きていかなければならないのか』『なぜ自ら死を選んではいけないのか』」という3つの側面から考えている。とりわけ親鸞に即した章は、親鸞が「いのち」をどうとらえたかについて簡潔に一望できるようにまとめられていて勉強になる。個人的には、永六輔が『大往生』で説く往生と著者が考える往生の違いはとても興味深かった。「いのち」を切り口にした仏教入門・親鸞入門としても読める。

『生死の仏教学』木村 文輝 著

生死の仏教学―「人間の尊厳」とその応用生死の仏教学―「人間の尊厳」とその応用
木村 文輝

法蔵館 2007-04
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▼インド哲学を専門とする著者が、脳死、臓器移植、クローン人間の産生など生命倫理であつかわれる問題について仏教の視点から考察している。しかし著者は、他書によくあるように、生活の場から遊離した建前論や抽象的な概念によって問題を考えているのではない。「仏教の基本理念を難解な仏教語に頼ることなく説き明かしつつ、それを『きれいごと』では済まし得ない現実の社会に活かしていく方途を模索」しようとしている。著者は、「仏教の最も根本的な存在意義は、人々の苦しみを取り除くことにある」という。この立場に立つと、脳死、臓器移植、クローン人間の産生などについてどう考えることができるのか? 著者自身の“結論”は(ある理由のために)ないが、現実に即して考えるためのヒントが数多く詰まった好著である。

『「生死」と仏教』瓜生 中 著

「生死」と仏教―名僧の生涯に学ぶ「生きる意味」「生死」と仏教―名僧の生涯に学ぶ「生きる意味」
瓜生 中

佼成出版社 2007-03
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▼『仏像がよくわかる本』や『仏教を楽しむためのお経の学校』など仏教に関する数多くの著作を著している著者が、最澄、空海、法然、親鸞、道元、日蓮、一遍、一休といった日本仏教史上の“名僧”の生涯を概観し、私たちの「生きる意味」について考察している。著者いわく、彼ら名僧たちはみな「愚直」だという。それは「自らの信念に基づいて行動し、生き抜いたということ」であり、「ときに、貧乏籤を引く」くらい「愚直に生きることに意義がある」のだと著者はいう。日本が生んだ名僧8人の生涯は、確固たる価値観を失った私たち現代人にどのような「生きる意味」や「生きるヒント」を投げかけているのか?――その“答え”が、この本のなかにある。

『ダンマパダ』(シリーズ 仏典のエッセンス)松田 愼也 著

ダンマパダ心とはどういうものか (シリーズ仏典のエッセンス)ダンマパダ 心とはどういうものか
松田 慎也

日本放送出版協会 2007-03
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▼南方上座部仏教を信奉する国々で長く親しまれ読まれてきた仏教最古の仏典の1つと言われる『ダンマパダ』――財貨の蓄積や性の悦びの獲得といった実利的な利益を得るための競争が激しかった古代インド社会のなかで宗教的理想の極致を説き、人びとの心をとらえたこの経典の魅力を、仏教学者の著者が自己や心をテーマにしてやさしく解説している。経典に述べられた句の解説ではなく、著者自身がこの経典をどう読みとったかという視点で書かれているので、最後まで飽きることなく楽しく読み通せる。この本をステップに『ダンマパダ』そのものを読んでみようという読者向けの「読書案内」もついており便利である。

『パリニッバーナ』下田 正弘 著

パリニッバーナ 終わりからの始まりパリニッバーナ 終わりからの始まり
下田 正弘

日本放送出版協会 2007-03
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▼仏教聖典形成史を専門とする著者が、パーリ語で書かれた『マハーパリニッバーナスッタンタ』(漢訳名『遊行経』『大般涅槃経』)に即して、仏教の“創始者”である釈尊の死と、その前後の出来事をていねいに読み解いている。著者いわく、「仏教を考えようとするとき、つねに立ちかえるべきひとつの基点があります。それは二千五百年という時をへて、世界各地に広がった仏教世界の遥かなる始原においては、たったひとりの人物のなかに起こった、かたちを超え、当初はことばにさえならなかった〈内的経験〉があったこと、むしろその経験をおいてはほかになにも存在しなかったという事実です」。釈尊の〈内的経験〉とはいかなるものであったのか?――それが、この本での中心テーマとなっている。

『仏とは何か』立川 武蔵 著

仏とは何か ブッディスト・セオロジー(3)仏とは何か ブッディスト・セオロジー(3)
立川 武蔵

講談社 2007-03-09
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▼仏の教えを説いた人間ゴータマ・シッダールタは、やがて崇拝対象として人間を超えた「仏」(ブッダ)になっていった。そして、「仏教徒ひとりひとりが精神的救済を求め」「人が『交わり』を有し得る相手」として、「ペルソナ」(人格)をそなえた「救済者」としての大乗の仏(ブッダ)があらわれた。「師としてのブッダから崇拝の対象であり救済者でもあるブッダへの変容は、どのようにして起きた」のか? そして、人びとは、その仏(ブッダ)をどのようにイメージし、仏(ブッダ)に対しどのような行為をしたのか?――この本は、その問いについて詳しく考察している。誰でも理解できる言葉で書かれているので、とても読みやすいのがありがたい。ちなみに、この本は、『聖なるもの 俗なるもの』『マンダラという世界』に続く「ブッディスト・セオロジー」の第3巻である。

『四国八十八ヵ所ゆとりの旅』ブルーガイド編集部 編

四国八十八ヵ所ゆとりの旅四国八十八ヵ所ゆとりの旅
ブルーガイド編集部

実業之日本社 2007-02-17
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▼四国遍路の八十八ヵ所のポイントが、豊富な写真と地図でビジュアルに紹介されている。周辺の観光名所やお食事処もあわせてとりあげられており、巡礼する際の心がまえや作法、用意すべき服装・用具、巡礼バスツアーやタクシー巡礼についてひととおりのことを知ることもできる。肩肘張らずに気軽に“お遍路気分”を味わいたい人にはうってつけのガイドブックだ。

『これがほんまの四国遍路』大野 正義 著

これがほんまの四国遍路これがほんまの四国遍路
大野 正義

講談社 2007-02-16
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▼郷土史家にして“遍路・巡礼マニア”(?)の著者が、四国遍路がもつ現代人にとっての意義や「遍路歩き」の戦略・装備、宿の選び方などを本音で紹介している。本書刊行時点で四国遍路を9回も敢行しているだけあって、豊富な経験者の立場から、四国遍路についてかなり詳しく紹介している。おもしろかったのは、四国遍路をする人たちのタイプ分け。「通過儀礼型」「リフレッシュ型」「自殺願望型」など、いくつかのタイプに分類しているが、最近ふえているのが大正時代に『娘巡礼記』を著した高群逸枝(たかむれ・いつえ)をまねた「高群逸枝型」だという。これがどういうタイプかは、自身でご確認を。それにしても、“四国遍路を「癒しのアミューズメント」「心の再生装置」にしよう!”という提案は、いくらなんでもトッピだと思うのだが……。

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プロフィール

Author:えすくろ
「仏教を知るブックガイド」管理人のえすくろです。もう遠〜い遠〜い昔に大学院で宗教学を専攻。それ以来、聖書&キリスト教、仏教&仏教経典、西洋哲学&倫理学、社会学(とくに宗教社会学)について広〜く浅〜くたしなみました。今は某大学通信教育課程の非常勤講師として哲学系・社会学系の科目を担当しています。

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